「修羅雪姫」(1973年、日)
あの「キル・ビル」の元ネタということで見てみました(以前同じ理由で「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」「少林寺三十六房」を見たところ、どちらも超絶的な面白さでした。タランティーノ良い趣味してるなあ。笑)。この「修羅雪姫」は数ある元ネタ群の中でも際立ってリスペクト度の高い一作。ほぼそのまんまです。
とにかく魅力とパワーがあふれ出ている作品です。ケレン味とはこういう味じゃ!と高々と宣言しているようなキレのある演出。ワンシーンワンシーンにこめられたエネルギーがハンパじゃない。梶芽衣子姐さんの凛とした美しさは言うに及ばず(というかあのクールな美貌で実はちょっと運動音痴?っぽいところがまた素敵だったりする)、演出がとにかく一筋縄では行かないくせ者ぶりなのだ。カメラワークは「よくぞこれだけ詰め込んだ!」とあきれるほどに自由奔放・変幻自在。あらゆる撮り方を網羅しているんじゃないかと思えるほどだ。カットバックを多用した編集も最初のうちはワケワカメになりかけるけれど、ペースさえつかめればこのわからなさがなんともいえぬ快感に化ける。カッコイイ。音楽も伝統的な時代劇の音楽からジャズ調まで様々。芽衣子姐さんが歌う主題歌「修羅の花」も情感たっぷりの名曲だ(ただ、先に「キル・ビル」を見てしまったためにそちらのシーンが脳裏をよぎってしまうのがなんともはや…)。
また、猛烈に陰惨な話にもかかわらず笑いどころが多いのも凄い。ヴァイオレンス描写が行過ぎるとギャグになるというよい見本である。とりあえず西村晃扮する怖い和尚さんと少女お雪の修行シーンは噴飯もののありえなさで、観客のツッコミ待ちといったところか。しかもこれだけハチャメチャをやっておきながら紛れもない日本的な情念の世界をしっかりと描き出している辺り、ソツがない。
どぎつく、けばけばしくなろうとも新しいものを作り出して見せるんだ!という当時の日本映画の活きの良さが凝縮されたような作品だった。「キル・ビル」が面白かった人はぜひ見てください。
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