「タワーリング・インフェルノ」

なんて面白いんだ畜生。
何が凄いって、ペース配分の完璧さ。イベントの時間配分とタイミングがドンピシャなので、二時間四十五分の長丁場で一箇所も飽きるところがありません。次から次へとタイミングよく訪れるトラブルの数々に、もう目は画面に釘付けです。展開が速いといっても、チャカチャカして落ち着きがないと感じさせるほどは早くなく、大作としての余裕と風格たっぷりに見ごたえある描写を重ねていくところがまたニクイ。製作者の手練手管を感じさせますな。また、善人も悪人も容赦なくあっさり死んでいくシナリオ・演出も凄い。カップルがけっこう悲惨なことになってます。フレッド・アステアジェニファー・ジョーンズの二人は、卓抜な演技の効果もあり可哀想さMAX。
メインキャストもいいけれど、サイドの人々も要チェック。「9時から5時まで」で吊るされてたダブニー・コールマンとか、「裸の銃を持つ男」と違ってドアを蹴破るのに成功してたO・J・シンプソンとか。いい仕事してます。
…と、このようにキャストの豪華さはもちろん言う事無しなんだけど、MVPはやはりスティーブ・マックイーン!彼のかっこよさに尽きる。きびきびと部下に的確な指示を出しつつ、自ら果敢に危険の中へ飛び込んで行き、クールに人命救助してしまう勇姿には惚れるしかありません。火事に遭ったらあんな隊長に助けてもらいたい。
印象的だったのがラストでのマックイーンとニューマンの会話。ああいった教訓的な台詞って、オチに持ってこられると意図があからさま過ぎ、普通ならやや鼻白んでしまうところ。しかし911耐震偽装事件(この二つを同列に並べるのも不謹慎ですが)を経た今では、このラストの台詞は一種予言的な迫力を帯びていてゾッとさせられました。

タワーリング・インフェルノ [DVD]

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