「東京の合唱」「淑女と髯」

「東京の合唱」
岡田時彦がひたすらかっこよくイイ男なので惚れる。
斎藤達雄は「頑張れば二の線でも行けそうなコメディアン」だけど、岡田時彦は「コメディもこなせる二枚目」って感じ。
今回はそのハンサム顔にもかかわらず、ちょっと情けないお父さんとして可愛らしさを発揮しています。
息子をなだめようとして最初は猫なで声、それでも言うことをきかないと急に怒り顔になるところなんて「ああ、パパさんってこういう感じだよねー」と納得できる演技で素敵。
小津さんてば「哀愁漂うお父さん萌え」の極意を体得しているお方なので、そのへんの魅力の引き出し方はお手の物です。
「生れてはみたけれど」と同系統のものとして完成度の高い作品。
ありえない鉛筆の削り方とか給料袋をもらった後の社員のやり取り、それに「カロリー軒」の出現など笑いどころもたっぷりでした。逃げ出した熊とか放り出された魚などのその後は気になるけど…。
それにしても岡田時彦の娘役の子が後のデコちゃん(高峰秀子)だったとは驚き。

「淑女と髯」
こちらも岡田時彦が素敵。でもなぜかボーボーのヒゲ面の時の方がヒゲを剃った後のつるんとしたニヤケ顔よりかっこよく見えます。剣舞のところなんかあまりのはじけっぷりに爆笑しましたが、見得を切る時の目が意外と凛々しかったりして。ただ、冒頭の剣道の試合のシーンでは斎藤達雄ともどももはや特殊メイクの域に入ってのヘン顔合戦でした。

小津安二郎 DVD-BOX 第四集

小津安二郎 DVD-BOX 第四集

あと、こちらでは「若者よなぜ泣くか」の岡田時彦の声が聞けます。なかなか良い感じ。田中絹代がもの凄い芝居がかった声の演技なのは笑えます。
http://www.fjmovie.com/~shimomura/sp/