「秋日和」

またまた小津作品。
個人的にヒロインの司葉子は、歴代ヒロインの原節子とかに比べ、綺麗だけどぐぐっと感情移入できる愛らしさに欠ける印象でしたが（先日BSで見た傑作「上意討ち　拝領妻始末」の方がいい！）、それはあまり問題ではありません。
なぜなら、この映画の主役はおっさんだからです。
おっさん３人（佐分利信、中村伸郎、北竜二）があいも変わらずセクハラ丸出しの会話で飄々と盛り上がりまくりでドン引きです。高橋とよ演じる女将に失礼すぎ。
・佐分利信（どう見ても名前区切るところがおかしい。敢えて「としのぶ」と呼びたい）はウチの母に言わせれば大スターとのことなのですが、特別二枚目とも感じられず、いつ見ても仏頂面だし、しゃべりもボソボソで、どのへんがスターなのかイマイチよくわかりません。
でも大好きです。
かわいいよとしのぶ。きゅーとだよとしのぶ。無表情の大根演技に見えて間の撮り方が絶妙なところとか最高。
・中村伸郎は３人の中でも特におせっかい。悪い！黒い！適当！無責任！だがそこがいい！！一番世話を焼いて欲しくないタイプですが、一番豪快に首を突っ込んできます。その割に使えません。そして家に帰るなり服を脱ぎ散らかし放題です。全部奥さんに片付けさせます。憎たらしいです！
・北竜二は三人衆の中で最強にかわゆいキャラ（おっさん好きにとっての萌えキャラ）なのですが、最後の展開がちと不憫…。「かわりにオイラが嫁に行くよ！」と声をかけてあげたくなります。まあ、小津さんも不憫と思ったのか、次作「秋刀魚の味」では若い嫁をゲットしてウハウハでしたが。
そんなわけで、こんな愛くるしいおっさんたちにならセクハラ発言されても許せます。いや、むしろされたい！「まだ結婚しないの？」とか職場で言われてみたい！そして「いやだわおじさまったら」と切り返してウフフと笑ってみたい！！
さあ、世のおっさん萌えの女子たちはこの映画を見てラブリーっぷりに悶えるべし。

なお、佐分利信の会社でちょこっとだけ出る岩下志麻がものっそい清楚で可憐なのにも注目！オフィスレディたるものかくありたいです。これならおっさんたちも気軽にセクハラ発言できることでしょう。

小津安二郎 DVD-BOX 第一集