「バルジ大作戦」(1965年、米)

 こてこての戦争映画。複数主役のアンサンブルは超大作「史上最大の作戦」や「遠すぎた橋」(←これ結構好き)と似たような形だが、それらよりスター成分は少なめであり、また人数が少ない分、一人ひとりのキャラもよく立っている。ネームバリューの関係から一番にクレジットされていたのはヘンリー・フォンダだが、実質的なメインはドイツ軍人ヘスラーを演じたロバート・ショウだ。これがカッコイイのなんの!世の人がイメージする”ドイツ軍人”をそのまま体現したようなヘスラー大佐のキャラクターとしての魅力もさることながら、ドイツ軍服がばっちり決まった勇姿には惚れ惚れしてしまう。
 私が最初にロバート・ショウを知ったのは「ジョーズ」を見たときだった。うちの父が「ロバート・ショウはかっこいいぞー」と言っていたのでどんな人かと見てみたら非常にワイルドなお姿だったので「この荒くれなおっさんは絶対にモノホンの地元の漁師さんだな」くらいにしか思っていなかった。ところが「007/ロシアより愛をこめて」のソ連の殺し屋がショウだとわかり、あまりの変わりっぷりに驚愕。あの船長のおっさんがこんなスマートでクールな殺し屋と同一人物だなんて!と感心し、すっかりファンになってしまったのである。以来我が家では彼を「ショーちゃん」と呼んで愛でている(笑)。ショウの実際の髪の色は茶色らしいが、金髪にするといきなりシャープな感じが強まる(っていうかやせて見える)ので、個人的には金髪バージョンがお気に入り。もちろんヘスラー大佐も金髪だ。
 「バルジ大作戦」にはショウ以外にも素敵な俳優が何人か出ている。ロバート・ライアンアメリカのグレイ将軍役で、司令官という立場上だんだん「水戸黄門」みたいに見えてくるのがおかしい。テリー・サバラスは「特攻大作戦」に続いてイカレ系の役。コメディ・リリーフだが、ちょっと良い役である。サバラスは「刑事コジャック」が有名らしい(未見)が、ジェニファー・アニストンのおじいちゃんだったというのはこの間知った。この強そうなメンバーに加えてトドメとばかりに出てくるのがチャールズ・ブロンソン。個人的には後年の「う〜ん、マンダム」な感じよりも戦争映画にびしばし出ていた若い頃の方が好きだ。
 映画自体としては、ストーリーもとりたてて新しいものではなく全体に地味な感じなのだが、戦車のドンパチは存分に見せる。戦闘シーンはかなり気合の入った出来だ。ただ、あちこちのレビューを見ると戦車自体のデザインはかなり適当らしい。私はそっち方面にはうといので普通に見られました。細かいところでは、ドイツ軍の作戦室に出てくるちっちゃい戦車模型がかわいくて好き。あと、パンツァー・リートの合唱シーンは素晴らしいです。
 とはいえ、やはり最大の見所はヘスラー大佐のかっこよさ。これでしょう。死に方がちょっとアレだったけど素敵さは最高!

バルジ大作戦 特別版 [DVD]

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