「アルファヴィル」

 ゴダールは高校生の時に「勝手にしやがれ」を見、あまりのかっこよさ&時代を超越した新しさにシビレたものですが、「難解」との評判を聞いて以降は他の作品に手を出すのを躊躇してしまい、だいぶご無沙汰していました。今回久々に挑戦してみたわけですが、なかなか面白かった。食わず嫌いはやっぱりよくないです。言葉では説明できない独特の魅力がありますね。
 プロットは管理社会SFと冒険モノ、それにハードボイルドのよくある要素だけを抽出したみたいな感じで、目新しさも何もあったもんじゃありません。それなのに何かが新しい。どうもそういった「ありがちなプロット」のパロディをさらにパロディ化したようなラインをわざと狙ったように思えます。捻りすぎて元に戻っちゃったみたいなところがこの不思議な違和感を生んでいるのでしょうか。演出にしても冗談なのか本気なのかわからないところがあって、いきなり真面目に美しい言葉を綴っちゃったり、そうかと思えばびっくりするようなヘンな省略を入れたり…どうにもはぐらかされたような気がしてしまうのです(このはぐらかし、というか冗談部分の演出はタランティーノが影響された部分のような気がしますが)。でもそこが奇妙な楽しさを生み出している。あなどれません。
 ただ、全体にはマッタリムードなので疲れているときには注意が必要。就活の疲労がたまっていた私は案の定途中で意識を失い、慌てて巻き戻すということが何度かありました(爆)。後半は展開が早まったので大丈夫でしたが…。個人的には「勝手にしやがれ」の方が好きです。ただゴダールがそんなに苦手でもないことがわかったので、今度から有名な作品をどんどん見てみたいですね。
 それから、主役の俳優さんは知らない人ですが、ジョン・ウェインバスター・キートンを混ぜてジャン・ギャバンで割ったような渋い(濃い)顔立ちをしており、なかなかかっこよかったです。ヒロインのアンナ・カリーナは写真で見た時とても綺麗な人というイメージがあったのだけれど、動いているところを見るとどうも黒柳徹子の若い頃に似ているような気がして仕方ありませんでした(笑)。あと、音楽が異様にかっこいいです。

アルファビル [DVD]

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