「Mr.&Mrs.スミス」

 面白いことは面白いんだけど、このネタとこのキャストという期待値から考えるとイマイチ。
 この監督さんは良く知らないけど、たぶんアクション一筋な人なんじゃないだろうか。アクション演出はいいんですよ、ド派手でスッキリするし。でもアクションを盛り上げるためのスパイスであり、物語の流れをスムーズにする潤滑油である「ユーモア」要素を無視しすぎ。脚本がせっかく面白いアイデアをまめまめしく繰り出してるのに、演出がそれをことごとく華麗にスルーしてる。台詞とかシチュエーションがギャグっぽいのにそれらしい雰囲気作りが全然できてなくて、ギャグが”単なる台詞の一つ”になっちゃってる。上手く作れば爆笑できそうなのに肩透かしを食らったみたいで、見ていてもどかしい。何事もなかったかのようにスルーされてゆくギャグたちが気の毒になる。このうっちゃらかしぶりはいかがなものかと。上手くすれば前半なんか相当笑えたはずなのに。
 細かいネタが充実している脚本も、大筋は大雑把で場当たり的。起承転結をもっとわかりやすくしてほしかった。大きな山場&谷場でメリハリをつけたほうがいいのに、「ミニ山場」を絶え間なく供給されてて慣れてきちゃう感じ。全体にそこそこ面白いんだけど、グワーッと盛り上がれる見せ場がない…。個人的には「夫婦喧嘩」の部分をメインにして主役二人にもっと大暴れさせて欲しかったかな。
 アンジェリーナ・ジョリーはかっこいいです。惚れます。サービスカットの女王様ルックが似合いすぎです。プラッド・ピットは頑張ってるけど肝心なところで照れちゃってアホに徹し切れていない感じ。ああいった役はもっと開き直って恥を捨ててはっちゃけちゃった方が逆にかっこよく見えるのに。