「シンデレラマン」

 感動系で賞を逃したとなるとあんまりかな?と思ったら、ナチュラルに良い話でびっくり。正統派のアメリカンドリーム話だった。ただ、ロン・ハワードってもともと映画の中の情報を処理するのが抜群に上手い人だから(「アポロ13」も「身代金」も、観客への必要な情報を見せるやり方が巧みで、複雑な話でもスッキリ見られる)、王道でヒネリのない話の場合はちょっと物足りなさが残るのも事実。アカデミー賞を取った「ビューティフル・マインド」と比べても、話自体はこの「シンデレラマン」の方が好きで良くこなれていると思うのだが、インパクトの点では「ビューティフル・マインド」の方が上回っている。一度見る分には十分楽しめるが、二度目を見ようという気は起きない。
 ラッセル・クロウは久々に見たけど、「ただの暴れん坊じゃなかったんだ…」(←失礼)って改めて惚れ直すぐらいに演技が上手くてイイ漢。パンチの出し方も(さすがというか)様になってる。バンドやったりパパラッチを倒したりばっかりしてないで、もっとばしばし映画に出て欲しいなあ。レニー・ゼルウィガーはなんか「ブリジット・ジョーンズ」以来すっかり太り癖がついてしまったようで、以前より華がなくなったかも…。「ベティ・サイズモア」とかは良かったのになあ。ゼルウィガーってブリジット・ジョーンズとか「シカゴ」のロキシー・ハートとか、もともと役柄自体が魅力的な場合はその魅力を十分に表現できるけど、今回みたいに役柄自体が地味だとプラスアルファの魅力を出すのは難しいのかもしれない。見ていてちょっと違和感アリ。奥さん役は「ビューティフル・マインド」つながりでそのままジェニファー・コネリーが演じた方がしっくりきたような気がする。
 とりあえずMVPはポール・ジアマッティで決定。期待通りのラブリーなおっさんっぷりがすばらしい。血管切れそうになりながらリングサイドで叫びまくる姿は可愛すぎて身悶えしそう。ほっぺたつまみたい…。 

シンデレラマン [DVD]

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