「切腹」

久々に改めてみました。いろんな意味で腹にズシンとくる傑作。
ただ、初見時は画面から片時も目を離せないぐらいグイグイに引き込まれていたのだけど、今回はそうでもない感じ。これはたぶん、回想を多用した一種の時系列操作によってミステリー&サスペンス的な醍醐味が生まれていたのが(脚本の橋本忍は凄い!それとも原作(滝口康彦「異聞浪人記」)にもこの要素はあったのかな?)、二回目ともなると筋が割れているのでこの部分の楽しみがやや削がれたせいかも。全画面から緊張感が漲ってるのはいいんだけど、話の展開がわかってる状態だと、正直、疲れます(笑)。
そうは言ってもラストの驚愕のどんでん返し→クライマックスの怒涛の大殺陣→皮肉たっぷりの結末、のかっちょよすぎる流れにはやはり目が釘付けになりました。仲代達矢も、三國連太郎も、丹波哲郎もかっこいい!(めっちゃ余談ですが、最初にコレ見た直後「釣りバカ日誌」で丹波さんがゲストの回を見てしまい、ニヤリとした記憶があります)
この作品、海外での評価も凄く高いんですが、超ド級に純和風なコレが一体どんな受け取られ方をしたのか気になります。求女が最初に白装束を目にした時の衝撃とか武士にとっての刀の重みとか髷とか、前知識がないとそのシーンの持つ重みが大分違ってくると思うんだけどなあ。刀をちょっとだけ抜いてチャキーンと鞘に収める金打(きんちょう)だって私も「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」で知ったクチだし(^^;)。
それにしても主演の仲代達矢はこの当時30歳。メイクや役作りの賜物とはいえ、老けすぎ。あの貫禄と落ち着きは一体…。

切腹 [DVD]

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