「琥珀の望遠鏡」(上)(下)

琥珀の望遠鏡〈上〉 ライラの冒険III (新潮文庫)

琥珀の望遠鏡〈上〉 ライラの冒険III (新潮文庫)

琥珀の望遠鏡〈下〉 ライラの冒険III (新潮文庫)

琥珀の望遠鏡〈下〉 ライラの冒険III (新潮文庫)

読了。面白かったー。今までは上巻が普通で下巻が盛り上がるという感じだったけど、この「琥珀の望遠鏡」は上下間ノンストップの面白さで読めました。第一巻から一気読みすると、ライラと一緒に旅したみたいな充実感が味わえます。冥界降譚もきっちり入れて、神話のなぞりとしては抜かりなしです。キリスト教徒の人が読んだらどう思うのかな、これ。より面白く読めて感無量になるか、怒るかのどっちかかも。お気に入りポイントとしては、コールター夫人とローク卿のタッグが格好よすぎ。あと、ゴメス神父が女子高の生活指導の先生みたいで笑えました。
ただ、微妙に気になる点がいくつか。(以下ばっちりネタバレです)



まず、天界の人たちがいくらなんでも弱すぎ。オーソリティーとかメタトロンが完璧にヘタレの使い捨てキャラです。天使のバルサモスも一応見せ場はあったとはいえやっぱりヘタレだし。いいのかそれで。まあ、皮肉の意味もあるんだろうけど、正直ちょっと肩透かしだったなあ。
それに関連して、物語は一応神の否定?っていう形になってるけど(オーソリティそのものも死んでるし、原罪も否定されてるし…)、それって偶像としての神を殺しただけで、アイデアとしての神の存在はダストという形で表現されているから無傷なんじゃないの、という疑惑も。あ、キリスト教の教義の否定だからそれはそれでいいのか…。でもなんか全てがダストの操るままだったから自由意志の介入する余地なしって感じでラスト付近はちとスリルが削がれたなあ。ダストを否定したらどうなる?って物語も見たいな。