「オペラの怪人」(1925年、米)

 ガストン・ルルーの原作を「千の顔を持つ男」と呼ばれた怪奇映画の大スター、ロン・チャニー主演で映画化。アンドリュー・ロイド・ウェバーによるミュージカル化作品が有名だが、これはもちろんそれよりずっと前の作品なので、あの「ジャジャジャジャジャーーン♪」は聴けません。サンレントだし。
 これが私にとっての「初オペラ座」だったのだが、それでも「なんか違うんじゃないのか?」と思える妙な作品(笑)。怪人が水遁の術を使ってラウルの兄を殺すところなんかずっこけそうになった。殺し方おちゃめすぎだから。怪人が脱獄囚の連続殺人犯というのも何か間違っているような。怪人の仮面も不気味。あと、ラウルが口ひげダンディのおっさんだったことはちょっと悲しい。
 でもこれはこれで面白かった。テンポがとてもいいし、シャンデリアが落ちる前に灯が点いたり消えたりするところはなかなかの緊張感。仮面舞踏会のパートのみうっすらカラーになるのも良かった(漫画で白黒+朱色の彩色があるが、あの感じ)。 
 ロン・チャニーは体の動きがかっこいい。大げさなんだけど、滑稽で、かつ哀愁もあって。顔を見せずにあれだけ表現できるとはやはり只者ではない。

この作品、データベースなんかで調べると絶対にこの「オペラの怪人」という「座」の大切さが身にしみるタイトルになっているのだが、ここではなぜか正式タイトルに・・・。