「バスター・キートン自伝 わが素晴らしきドタバタ喜劇の世界」(筑摩書房)

 だいぶ前に図書館から借りていた本。やっと読み終えることが出来た。キートンファンとしてはいつかは読まなければ!と思っていただけに読了できて感激。内容も期待にたがわず面白く、映画同様楽しい語り口に感心しっぱなしだった。っていうかこれは名著ですよ。自分で買って手元においておきたいのだが、どうやら絶版らしい。残念!
 全体を通して興味の尽きない本だが、中でも楽しかったのが、第六章で紹介されるイタズラの数々。この時代の喜劇人の、笑いにかける意気込みのハンパじゃない凄さってのがよくわかる。イタズラのターゲットにされた人たちも皆シャレがわかっているのが素晴らしい。キートンの語り口の妙もあって、出てくる人物たちが本当にきらきらと輝いている。第七章に出てくるロバート・E・シャーウッドのエピソードも素敵。当意即妙の粋なユーモアに惚れ惚れしてしまう。
 訳者の藤原敏史さん(キートンの映画の字幕監修もしていた気がする)の注も充実している。おススメの一冊。

バスター・キートン自伝―わが素晴らしきドタバタ喜劇の世界 (リュミエール叢書)

バスター・キートン自伝―わが素晴らしきドタバタ喜劇の世界 (リュミエール叢書)