ドナルド・キーン「日本語の美」
就活してると電車での移動時間が多くなり、したがってその間に読む本の量も増えるという次第。
安部公房がらみで名前を知り、現在読売新聞で連載中の「私と20世紀のクロニクル」(参考:http://info.yomiuri.co.jp/release/200601139200-1.htm)ですっかりお気に入りしたドナルド・キーンが書いた、日本語に関するエッセイ。「〜クロニクル」の方では原文が英語ということから、日本語の文章を書くことは流石の”となると・キンちゃん”(山口晃氏命名)でも難しいのかと思っていたらあらビックリ、この本はもともと日本語で書かれているではないか。しかも古文・漢文引用しまくり、旧仮名遣いもびしばし出てくる。こりゃ、そんじょそこらの作家より遥かに巧みに日本語を使いこなしているぞ。著者紹介をよく読むと日本文学研究の大御所なんだそうな。おみそれしました。ううむ、キンちゃん恐るべし。
文体だけでなく内容もまた面白い。日本語という言語の面白さ・面倒くささをいろんな角度から論じていて唸らされる。日本人にとってこそ新鮮に感じられるのかも。
個人的にすっかりツボにはまったのは第Ⅲ部の作家論で、三島由紀夫や安部公房に関する話題はもちろんのこと、「ローマ字でしか書けなかった啄木の真実」が目から鱗の面白さ。学校で習い、イメージしてきた石川啄木像がガラガラと音を立てて崩れること請け合いだ。あのヌボーとした坊ちゃん顔の赤貧詩人・啄木(写真1:教科書でおなじみ。 写真2:左は金田一京助さん。カコイイ)がこんな作品を書き残していたとは…(絶句)。啄木の「ローマ字日記」、凄く読みたいぞ!!
- 作者: ドナルドキーン
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2000/01/01
- メディア: 文庫
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