「パプリカ」

アニメ映画になったのを知って興味がわいたので読んでみました。
最初の権力闘争+心理戦ぽい展開から「七瀬ふたたび」みたいな深層心理を攻撃しまくるシリアスでエグイ戦いを予想していたのですが、第二部に入ったらなんだか話がおかしな方向へ。なぜか筒井康隆の悪趣味全開なグロテスク・スラップスティックに変貌してしまいました。それはそれで面白かったから別にいいんだけどね。
微妙に不満が残ったのはパプリカの活躍度。前半こそ夢探偵として華麗に活躍するものの後半はもう他人の夢に翻弄されっぱなしです。しかも基本的にはパプリカの魅力のとりこになった男達に助けてもらうだけという受け身っぷり。ノーベル賞級の頭脳を持っているんだからもっと能動的に敵を攻撃しなさいよ。あと、読む前のイメージで勝手に現実世界の千葉敦子が夢の中だけはイマジネーションの力でパプリカというキャラクターになりきる、という感じだと思ってたのですが、ナチュラルに変装だったので笑いました。
個人的お気に入りキャラクターは小山内君です。美貌で、頭脳にプライドを持っているにもかかわらず、結局武器は体ってのは切なくて笑えます(まあパプリカも似たようなものだけど)。しかも肝心な時に役に立たないし。こういう屈折したヘタレキャラは生暖かく見守ってあげたい気持ちになりますな。あと、能勢さんはフツーにかっこいいおじさまなのでこんな人が上司だったらいいなあとか思いました。
それにしてもこれ、終盤のドタバタな展開は良いとしても、あのオチは映画版ではどうするんだろう。

パプリカ (新潮文庫)

パプリカ (新潮文庫)