「ヒストリー・オブ・バイオレンス」

ブロークバック・マウンテン」に続いて当たり!イイ映画です。デビッド・クローネンバーグは割と好きな監督だけど、見た作品を好きな順に挙げると「ザ・フライ」「デッドゾーン」「スキャナーズ」(ここまではかなり好き)「イグジステンズ」(これはイマイチ)という感じだったので、「最近は合わなくなっちゃったのかなあ」とか思っていたんですが、いやー久々にヒットが来ましたよ。
西部劇にありがちなストーリーを無理なく現代に置き換えた、直球ど真ん中な話ってところが良いですねえ。変なヒネリがなく、安心して見ていられる。やっぱいいわぁ、王道。設定が現代で描写はめちゃくちゃリアルなのにもかかわらず、話が王道なので寓話チックな香りもあり、それがまた生臭い描写に対する絶妙のスパイスになってます。生臭いといえばアクションが凄い。最近のアクションものは派手さを追求した結果、カット割とかアングル切り替えが激しすぎて何が起こっているかわからないうちに終わる(または悪酔いする)ようなものが多いんですが、この作品はスピーディーながらどこがどうなっているかが非常にわかりやすく、エグイことをやっているのに描き方がはしゃぎすぎていないから見やすい。見せ方が巧いんですね。「うわー、殺っちゃったよ」感が絶妙でした。
主役を演じたヴィゴ・モーテンセンは果てしなくかっこいいです。「ロード・オブ・ザ・リング」のワイルドなアラゴルンもいいけど、個人的にはこっちがおススメ。痺れるほどかっこいい激渋のアクションシーンあり、個人的にツボな「哀愁のパパさん」要素ありで最高です。殺しをやっちゃった後の切なくも怖い目の演技がたまりません。返り血の赤とブルーの瞳が素敵なコントラスト。
エド・ハリスは出番が思ったより少なかったのが残念でしたが、不気味な佇まいとかっちょいい傷跡が素敵だったので無問題です。「プラトーン」のトム・ベレンジャーと並んでマイ・ベスト・傷跡の仲間入り。(あと、ヴィゴ兄役だったら絶対ウィリアム・ハートよりエド・ハリスでしょ。顔似てるから。
それから、奥さん役のマリア・ベロが強烈で良かった。
欲を言えば、各バトルシーンの合間にもっと耐え忍ぶ「溜め」の時間が欲しかった。サクサク進む展開なのでぐいぐい引き込まれるのはいいんだけど、その分味わえたはずの余韻が減ってしまったようで残念。尺に余裕がなかったわけじゃないので、クライマックスの前にはもっと煮詰まってた方が好みだったなあ。

ヒストリー・オブ・バイオレンス [DVD]

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