「M:i−3」

IMFといえば国際通貨基金を真っ先に思い浮かべてしまう私ですが、全体的にテンポがよくて面白かったです。ただ、不満も結構あり。

・不満その1、奥さん絡みのエピソード要らない。
奥さんがらみのエピソードが出てきたせいで「スパイの非情さ」というカッコイイはずの要素が台無しになっていたのがいただけない。奥さんが誘拐されてからの展開なんてただの一般の人の巻き込まれ型サスペンス・アクションじゃないですか。スパイ映画「ミッション・インポッシブル」シリーズである必要性皆無。しかも奥さんが魅力的ならまだしも、リブ・タイラー風味の美人というだけでキャラクターに個性がないからあんまり応援する気になれない。「トゥルーライズ」のジェイミー・リー・カーティス並みの面白キャラを確立してこそわざわざ奥さんを出した意味があるってもんでしょうに。それにオープニングで先の展開を見せる手法も、中盤アクションシーンのサスペンスを殺ぐだけで何もメリット無し、明らかに失敗。最初っからバチカンのシーンを持ってきてくれたら良かったのに…。

・その2、「騙し」の要素がない
「1」では冒頭から変装を使った「騙し」を披露、クライマックスでも敵の親玉を罠にかける見せ場が用意されていたし、「2」でも同じく変装トリックがくどいほど使われていた。どれもイーサン・ハントの仕掛けたトリックに騙されたことを、悪役と観客が同時に気づくという作りで、それがどんでん返しのカタルシスを生んでいたはず。ところがこの「3」ではハントは手の内を全て観客に見せていて、新鮮な驚き+「してやったり」感がない。どんでん返しは一応あるけどそれはこれまでと逆にハントが騙されていたという形のものなので、爽快感はゼロ。ああ〜、「1」の「おはよう、フェルプス君」はかっこよかったなあ。

・その3、アクションシーンに特色がない
「1」も「2」もアクションシーンに監督さんのカラーが色濃く出ていて良かったんだけど、「3」はどこかで見たようなイメージの連続で面白みがない。迫力はあるんだけど、全体的に”ありがち”。めまぐるしいだけのカメラワークもそろそろうっとうしくなってきた。っていうかあのビルからのダイブシーンは「どっかで見たような…」と思ったら、「アップルシード」の予告と同じだし。

不満はこんなところでしょうか。
ただ、バチカンでのミッションは文句なしに面白かったですよー。全編あの調子で行ってくれれば最高だったのに。特にあのフィリップ・シーモア・ホフマンの顔が出来上がるシーンとかめっちゃ良くできてて驚きました。
それに、そのホフマンが最高。あの「中にトム・クルーズが入っている設定のホフマン」には爆笑しました。アクションも頑張っててなんか応援したくなる可愛さが…。せっかくふてぶてしい悪役キャラとしてナイスだったんだから、やっぱり主人公に騙されて「くっそおお!」ってなるシーンとか見たかったなあ。