「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」「プーサン」

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
やるなあ宇宙人ジョーンズ。もはや巨匠の風格じゃないですか。
近年稀に見る映画らしい映画で、ロードムービーかくあるべしという出来。
最近ありがちなチャカチャカめまぐるしくカット割りや展開を変えるだけの落ち着きのない映画群は、この映画の爪の垢でも煎じて飲みなさい。じっくりと魅せてこそ映画ですよ!
時間軸操作&妙なブラックユーモアが冴える知的な脚本と雄大で美しい映像をものにした撮影も見事です。
あと、バリー・ペッパーがイイ!意外に受難な役も似合いますね。

「プーサン」
クマじゃないっすよ。遅ればせながら市川崑追悼です。
しかしまあ、これはなんといっても伊藤雄之助!この人のイメージは「生きる」とか「忍びの者」の”一筋縄でいかない悪辣な(でも憎めない)奴”って感じだったので、こんなに情けなくて愛おしいキャラクターを演じられることが驚きです。雄之助かわいいよ雄之助。今夏目漱石の「坊っちゃん」を読んでるんですが、うらなり先生はこの「プーサン」の伊藤雄之助のイメージになってしまいました。
他にも藤原釜足(この人も黒澤映画の農民のイメージ強いから、小奇麗にしてるとぱっと見わからないなあ。でも「ロマンス娘」の板前パパさんも素敵だった)とか小林桂樹とか木村功とか、なんか変なのが絶妙におかしく、可愛い。芸達者が揃ってます。
女性陣はひたすら強烈だったんですが(「お早よう」で押し売り撃退してた三好栄子と越路吹雪が親子って凄すぎ)、八千草薫は可憐でしたねー。娘さんでも、おばさんでも、おばあさんでもイメージ変わらず、いつ見ても可愛いっていうのは反則でしょう。