「ゴドーを待ちながら」を楽しく読む方法。
以前読みかけてあまりの淡々とした物語(と言えるのかどうか…)と区別がつかない主人公二人に我慢できず途中で投げ出した作品。今回卒論で「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」をやる上では「ハムレット」並に不可欠なサブテキストらしいので、改めてチャレンジしてみました。
再読するからには最後まで読み通さないといかんぞ、ということで前回つまずいたところへの対策を練ってみる。以下に方法を記したので、「ゴドー」に挫折した経験があるという方はぜひ参考にしてみてください。
1、のらりくらりとして違いがよくわからない主人公二人の区別をつける。
いや、そんなん舞台を見れば一発でわかるものなんだけど、台本読んでるだけだとこれが意外と難しいのです。で、解決策として実在の役者を当てはめてみることにしました。まずはベケット自身が想定していたらしいチャップリン&バスター・キートンで試してみたが、二人ともサイレントのイメージが強すぎてしゃべっているところを想像することが出来ず却下(会話が主な内容の台本に無声の人物を当てはめるのってすっごい難易度高い)。次に第一幕冒頭のト書きにヒントを得て「ギルバート・グレイプ」のジョニー・デップ&ディカプリオで行こうと思ったが、若すぎる上に爽やかさ炸裂なのでいくらなんでもこれは違うだろうと思い即却下。悩んだ末「スケアクロウ」のコンビであるアル・パチーノ&ジーン・ハックマンに決めました。映画の冒頭の荒涼とした雰囲気が前述の第一幕冒頭とマッチしたもので。おまけに主役二人も現在マイ・ベスト・お気に役者さんなので想像するのも楽しいってもんです。というわけで私の中では
エストラゴン=ハックマン(「スケアクロウ」で靴ガンガンやってたから)
ヴラジーミル=パチーノ(早口でまくしたてるの得意だし)
に勝手に決めてしまいました。
読み進めてみたところこれが意外にピッタリはまっていてびっくり。見た目にもイイ感じに凸凹コンビなのでわかりやすさは最高です。我ながらなかなか良いチョイスでした。
ちなみにこの作品の配役に関してはキートンとマーロン・ブランドなんてのも考えられてたようです。凄いなそれも。以前にベケットが脚本を書いた映画「フィルム」を見たことがあるのですが、これがキートン主演でした。ベケットってキートンのファンなのか。
参考:http://www.geocities.jp/bkbib/bkbibdic.htm
http://www.doblog.com/weblog/myblog/6498/2493663#2493663
2、筋を深く考えない。
もともと不条理劇なので、しっかり理解しながら読もうとするとドツボにはまります。筋もあってないようなもんだし。ボケとツッコミがごちゃごちゃになる高度な漫才のパロディ、という程度の認識でよいかと思います。会話と行動がいちいち絶妙にかみ合っていないところに注目するのもおすすめ。
…これだけです。しっかり読み込んだ人には怒られそうな内容ですが、初心者ということでご勘弁。今のところ順調に第一幕を読み終わったので、ある程度の効果はあるようです。難解と評判のこの不条理劇に挫折した経験のあるあなた、ぜひお試しあれ。
- 作者: サミュエル・ベケット,安堂信也,高橋康也
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1990/10
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